プレスリリース要約
株式会社レゾナックと電力中央研究所は、次世代パワー半導体材料として注目される「SiCエピウェハー」の高品質・高生産性製造技術の開発において、第58回市村産業賞「貢献賞」を共同受賞しました。EVやデータセンターの省エネ化に直結するこの技術は、量産化と低コスト化の壁を打ち破るブレイクスルーとして期待されています。
株式会社レゾナックと一般財団法人電力中央研究所が共同開発した「パワー半導体用高品質SiCエピタキシャルウェハー(エピウェハー)の高生産性製造技術」が、第58回市村産業賞「貢献賞」を受賞しました。この技術は、従来のシリコンに代わる次世代パワー半導体素材であるシリコンカーバイド(SiC)の普及を阻んでいた「高品質化」と「低コスト化(高生産性)」の両立という課題を解決するものです。レゾナックが培ってきた技術力と電力中央研究所の知見、さらに装置メーカーやデバイスメーカーとの共創によって、量産レベルでの安定した低欠陥化と生産性の向上が達成されました。
開発された新技術は、主に4つのアプローチで構成されています。1つ目は成膜時の表面欠陥を抑制する装置設計、2つ目は基板からの内在欠陥(基底面転位)を大幅に低減する界面制御プロセス、3つ目は欠陥を高精度に検出する量産検査技術の活用、そして4つ目は高温搬送や低熱容量化による昇降温時間の短縮です。これらにより、車載や鉄道用途で求められる極めて高い信頼性を確保しつつ、SiCパワーデバイスの初期歩留まり向上と製造コストの削減に成功しました。すでにEVの電費改善やデータセンターの省エネ化において実用的な効果を上げています。


Journalポイント
実はこれ、EVの航続距離を伸ばしたり、急増するデータセンターの消費電力を劇的に抑えたりするための極めて重要な基盤技術なんです。
え、そうなんですか? 半導体の基板となるウェハーの技術が、どうしてそんなに大きな省エネ効果を生み出せるんですか?
実は今、世界的なAIの拡大や社会の電化によって電力需要が爆発的に増えています。そこで、電気を無駄なく変換してロスを極限まで減らせるパワー半導体の進化が不可欠という背景があるんです。
でも、パワー半導体なら、もともと使われている従来のシリコン素材では性能を高めるのが難しいということなのでしょうか?
そうなんです。シリコンはすでに物理的な限界を迎えています。そこで、従来のシリコンに比べて電力損失を大幅に削減できるSiC(シリコンカーバイド)という新材料が今、強く求められているんですよ。
なるほど、限界を突破する新素材なんですね!それならそのSiCウェハーをどんどん使えば良いと思うのですが、これまでは何が普及のハードルになっていたんですか?
SiCウェハーというのはシリコンカーバイドで作られた半導体基板のことで、非常に硬く加工が難しいため、製造中の欠陥発生や高コストが課題でした。今回の技術は、独自の装置設計や高精度な検査技術により、高品質な製品の低コストかつ安定した量産を可能にしたんです。
品質とコストの両立という最大の課題をクリアしたのですね。他社も同様の技術開発を進めているのでしょうか?
実は業界全体がSiCの量産化へシフトしています。その中でレゾナックは、自社内だけに閉じこもらず、研究機関や装置メーカー、顧客であるデバイスメーカーとの『共創』を進めることで、量産レベルでの実用化において一歩リードした形です。
自前主義にこだわらず、多様なプレイヤーと連携したからこそ実現できた技術なのですね。大変勉強になりました!


