プレスリリース要約
赤十字国際委員会(ICRC)は、EUや日本赤十字社を含む16カ国のネットワークと連携し、ガザ南部ラファの野外病院の機能強化を完了しました。極限環境下での医療インフラ維持と、複雑な国際ロジスティクスの突破口となる本取り組みは、グローバルな危機管理や複数組織によるパートナーシップのあり方に重要な示唆を与えています。
赤十字国際委員会(ICRC)は、エジプト赤新月社や欧州連合(EU)などの支援を得て、ガザ地区南部ラファにある赤十字野外病院の改修・機能強化に必要な物資の搬入を完了しました。この物資はケニアのナイロビからエジプトを経由してガザへと届けられました。今回の機能強化により、病床数は60床から72床に増床され、手術室や救急・外来部門、産科・小児科の機能向上、術後ケアの改善などが図られます。2024年5月の開設以来、同病院では11,300件以上の手術、約25万件の診察、約1,200件の分娩を行うなど、地域の重要な医療拠点として機能し続けています。
同病院の運営は、日本赤十字社を含む16の各国赤十字・赤新月社が連携して行っており、ノルウェー赤十字社が主導的な役割を担っています。また、こころのケアや救急チームは現地のパレスチナ赤新月社が提供するなど、多国籍かつ多機関のパートナーシップによって支えられています。一般的な野外病院は一時的な解決策としてテント構造で構築され、耐用年数は通常1年程度とされていますが、同病院は2年にわたり稼働を続けており、ガザにおける深刻な医療アクセス空白を埋める不可欠な存在となっています。

Journalポイント
実はこれ、単なる医療支援ではなく、世界16カ国が連携した極めて高度なグローバル・ロジスティクスの成功例なんです。
え、そうなんですか?野外病院の物資を運ぶのがそんなに難しいことだとは思いませんでした。
実は今、現地への医療機器や物資の搬入には非常に厳しい承認プロセスがあり、通常のサプライチェーンが完全に遮断されているという課題があるんです。
でも、それってもともと人道支援なら優先的に通してもらえるんじゃないんですか?
それが簡単ではないのです。今回はケニアからエジプトを経由し、長期の承認を経てようやく搬入できました。実績としては、これまで約25万件の診察や1万件以上の手術をこの環境下で支えています。
なるほど!じゃあ、この野外病院の運営自体が、一つの巨大な「多国籍プロジェクト」ってことですか?
その通りです。日本を含む16カ国のネットワークが資金や人材を出し合い、現地組織と役割分担するマルチパートナーシップで成り立っています。
企業が災害時に事業を継続するためのBCP対策としても、こうした極限環境のノウハウは注目されそうですね。
BCPというのは「事業継続計画」のことで、緊急事態でも事業を止めないための仕組みを指します。まさに、この病院が2年も稼働し続けられていること自体が、究極のレジリエンス(回復力)の証明と言えます。
過酷な状況下でのサプライチェーン維持は、現代のビジネスにも通じる深い学びがありますね。

赤十字国際委員会
- 代表
- 榛澤 祥子
- 所在地
- 東京都港区赤坂1-11-36 レジデンスバイカウンテス320
- URL
- jp.icrc.org
