プレスリリース要約

米バイオスタートアップのKanvas Biosciencesが、シリーズAで4,800万ドルを調達しました。独自の空間解析技術を強みに、再現性と製造の難しさを克服したマイクロバイオーム治療薬の実用化に挑む同社には、ゲイツ財団やKicker Venturesなどの有力投資家が参画し、大きな注目を集めています。

米国ニュージャージー州を拠点とするバイオテクノロジー企業 Kanvas Biosciences社は、4,800万ドルのシリーズA資金調達ラウンドを実施しました。本ラウンドは既存投資家であるDCVCとLions Capitalが共同でリードし、グローバルVCのKicker Venturesや、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などが参加しています。調達した資金は、がん免疫療法や免疫関連大腸炎、さらには栄養不良に伴う腸管機能障害を対象とした、マイクロバイオーム(腸内細菌叢)治療薬プログラムの臨床開発および製造基盤の強化に充てられます。

同社が開発する治療薬は、従来のドナー由来の糞便微生物移植が抱えていた、品質のばらつきや製造のスケーラビリティといった課題を解決するものです。独自の空間マイクロバイオーム解析技術により、効果が実証された複数の微生物株を組み合わせた「定義された微生物コンソーシアム」を製造。これにより、臨床での高い再現性と安定した供給を可能にする治療介入を目指しています。現在、がん免疫療法の効果を高める「KAN-001」や、免疫関連大腸炎を対象とした「KAN-004」などのパイプライン開発が進行中です。

Journalポイント

編集部

実はこれ、ただの腸内環境の改善ではなく、がん治療の効果を高めるための本格的な『医薬品』を作ろうという最先端の挑戦なんです。

えっ、お腹の細菌ががん治療に関係あるんですか?ヤクルトのような乳酸菌飲料を飲むのとは何が違うんでしょうか?

読者
編集部

実は今、がんの最新治療である免疫チェックポイント阻害薬が、患者の腸内環境によって効果に大きな差が出ることが分かっています。そこで、効果が出た人の腸内細菌を分析し、最適な菌の組み合わせを薬として届けようとしているんです。

なるほど。でも、それってこれまでの FMT と呼ばれる便の移植治療と同じではないんですか?

読者
編集部

FMT というのは『糞便微生物移植』のことで、健康な人の便をそのまま移植する治療法です。ただ、これだとドナーによって品質にばらつきがあり、安全性の管理や大量生産が難しいという課題がありました。今回の技術は、必要な菌だけを特定して工場で合成する点が画期的です。

なるほど!ばらつきを無くして、普通の飲み薬のように大量に作れるようにするわけですね。開発はどこまで進んでいるんですか?

読者
編集部

すでに、がん免疫療法の効果を高める KAN-001 や、治療の副作用による大腸炎を抑える KAN-004 という製剤が開発中で、一部はすでに臨床試験のフェーズに入っています。ゲイツ財団とは、栄養不良による腸の機能障害を防ぐ薬の開発も進めていますよ。

すごいですね。他のバイオスタートアップでも、似たようなマイクロバイオーム創薬に取り組んでいるところはあるんですか?

読者
編集部

はい、世界中で開発競争が激化しています。これまでは『可能性』の段階でしたが、解析技術と製造技術の進化によって、いよいよ実用可能な医薬品へとシフトする過渡期にあります。今回の多額の資金調達は、その実用化への期待の表れですね。

腸内細菌が本格的な薬になる時代が、もうすぐそこまで来ているんですね。とても勉強になりました!

読者
Kicker Management Company, LLC ニュース要点の図解

Kicker Management Company, LLC

代表
清峰 正志
所在地
700 El Camino Real, Suite 120 #1069, Menlo Park, CA 94025, USA
URL
www.kickerventures.com

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