プレスリリース要約
株式会社巴川コーポレーションが開発した通気性ヒーター部品「iCas MCT」が、株式会社ニコンの新型半導体露光装置に採用されました。ミリケルビン単位の極めて精密な温度制御が求められる半導体製造の最前線において、同社の素材技術が装置の生産性とエネルギー効率の向上にどう貢献するのか注目が集まります。
巴川コーポレーションは2026年5月18日、自社開発の通気性ヒーター部品「iCas MCT」が、ニコンの半導体露光装置「NSR-S215D」に採用されたと発表しました。本装置は2026年12月より販売される予定です。同社の通気性ヒーターが半導体露光装置に採用されるのは今回が初めての事例となります。半導体露光装置は、シリコンウェハ上に微細な回路パターンを形成する製造工程の中核を担う装置であり、装置内部のわずかな温度変動がパターンの精度に直結するため、極めて高精度な温度管理が求められています。
今回採用された「iCas MCT」は、ステンレス繊維で構成された紙状・多孔質の「ステンレス繊維シート」を発熱体として用いた新製品です。多孔質構造によりヒーター自体に通気性を持たせ、加熱面に対して垂直方向に空気を通過させて効率的に加熱します。この独自の構造により、ヒーター自体の熱容量を抑えつつ、高い温度応答性と昇温性能を実現しました。さらに部品の小型化・軽量化も可能にすることで、半導体露光装置の高性能化や省スペース化、エネルギー効率の改善に大きく寄与しています。


Journalポイント
実はこれ、従来の板状ヒーターとは全く異なる発想で作られた、空気が通り抜ける『風を通すヒーター』なんです。これにより超高速な温度制御が可能になりました。
え、ヒーターに風を通すんですか?それだと熱が逃げてしまって、かえって効率が悪くなりそうに思えますが、どうなのでしょうか?
実は今、半導体露光装置にはミリケルビン単位の極めて精密な温度制御が求められており、従来のヒーターでは温度変化への応答速度が追いつかないという課題があったのです。
なるほど。でも、紙のように薄いステンレスの繊維だけで、精密な露光装置を温めるのに十分な熱量が得られるのですか?
はい、このステンレス繊維シートは多孔質で表面積が非常に広いため、通過する空気を効率よく温められます。これにより、従来比で大幅な温度応答性の向上と小型化を両立できたのです。
素晴らしいですね!この技術は、ニコンのような大手メーカーとの B2B 取引において、どのような成果指標が評価されたのでしょうか?
B2Bというのは企業同士の取引のことで、評価されたのは装置の生産性向上や省エネ性能です。露光装置の稼働率を高めるためには、温度が目標値に達するまでの時間をいかに縮めるかが決定的な要因になります。
熱の制御が装置全体の生産性を決めるのですね。他の半導体関連企業でも同じような熱対策への需要はあるのでしょうか?
実は半導体業界全体が製造プロセスの微細化と省エネ化へシフトしており、熱対策は最重要テーマの一つです。巴川コーポレーションのようなニッチな素材技術が、今や世界的なサプライチェーンを支える鍵となっています。
最先端の半導体産業を支えているのは、こうした日本の素材メーカーが持つ高度な技術力なのですね。とても勉強になりました!


