プレスリリース要約
UntroD Capital Japanが運営するリアルテックファンドは、難治性固形がんの新たな治療アプローチを開発する創薬スタートアップ、キャストバイオへの出資を実施しました。同社が持つ独自の技術は、薬剤の浸透を阻害する「がん間質」を標的とすることで、従来の治療法では届かなかったがん細胞へのアプローチを可能にします。
リアルテックファンドを運営するUntroD Capital Japanは、2026年5月、株式会社キャストバイオへの出資を実行したと発表しました。キャストバイオは、国立がん研究センター発のベンチャーである凜研究所から新設分割によって設立された創薬スタートアップです。今回の資金調達により、同社は独自の次世代抗体薬物複合体(ADC)である「抗IF-ADC」の非臨床開発を加速させるとともに、研究開発体制の構築や知的財産権の強化・保全を進める計画です。これにより、5年生存率が極めて低い難治性固形がんに対する新たな治療選択肢の創出を目指します。
キャストバイオが開発する「抗IF-ADC」は、膠芽腫や膵がん、スキルス胃がんなどの難治性固形がんを標的としています。これらのがんは、がん細胞の周囲を取り囲む「がん間質」がバリアの役割を果たし、薬剤の浸透を妨げることが治療を困難にする要因とされてきました。同社は、がん間質に蓄積する不溶性フィブリンに結合する抗体と、特定の酵素で切断される独自の「VLKリンカー」を組み合わせる技術を開発。これにより、特定のバイオマーカーの有無に関わらず、がん種を横断して間質全体に薬剤を効果的に拡散させ、がん細胞を攻撃する仕組みを実現しています。
Journalポイント
実はこれ、がん細胞の周囲に形成される 『不溶性フィブリン』 という、いわばカサブタのような組織をターゲットにして薬剤を送り届ける仕組みなんです。
カサブタですか?がんの周りにそんなものがあるなんて驚きです。でも、どうやってそこに薬を留めておくんですか?
がんが血管を取り込みながら増殖する際、出血と止血が繰り返されることでカサブタのような組織が蓄積します。同社は、この組織にぴったり結合する 『抗IF抗体』 を使うことで、薬剤をピンポイントでがんの足元まで運ぶことに成功しました。
なるほど。でも、そこからどうやってがん細胞を攻撃するんですか?カサブタに薬がくっつくだけでは意味がないですよね?
そこで活躍するのが、特許技術である独自の 『VLKリンカー』 です。カサブタの周囲に豊富に存在する酵素に反応してこのリンカーが切断されると、内包された薬剤が周囲にじわじわと拡散し、バリアの奥に潜むがん細胞を直接攻撃できる仕組みになっています。
なるほど、バリアを突破して中から攻撃するのですね。ところで、製薬業界のトレンドとしてよく耳にする ADC という言葉がありますが、それとは何が違うのでしょうか?
ADCというのは抗体薬物複合体のことで、抗体と薬物を結合させて病変部へ届ける技術です。従来のADCはがん細胞そのものを狙いますが、今回の技術はがんの周囲にある 『がん間質』 を狙う点が大きく異なります。これにより、がん細胞の個体差に左右されない治療が可能になります。
がん細胞そのものではなく、その周りを狙うのが新しいのですね。他社でもこのような間質を狙う開発は行われているのですか?
はい、がん間質をターゲットにする研究は世界中で行われていますが、結合の強さと薬剤放出のバランスを両立させるのは至難の業でした。キャストバイオの 『VLKリンカー』 は、その課題をクリアした技術として、国内外の創薬分野から非常に高い関心を集めています。
がん治療の常識を覆すようなアプローチですね。日本発のバイオベンチャーとして、これからの臨床試験の進展がとても楽しみです!

UntroD Capital Japan株式会社
- 代表
- 永田 暁彦
- 所在地
- 東京都港区虎ノ門2-2-1 住友不動産虎ノ門タワー 17F
- URL
- www.realtech.holdings
