プレスリリース要約
千葉大学の研究グループは、約5万人のリアルワールドデータを用いて、AI支援システムを導入した胃内視鏡検査ががんの発見率を大幅に向上させることを実証しました。実際の健診現場におけるAI内視鏡の有効性をこれほどの大規模データで示したのは世界初の試みであり、医療DXの社会実装を加速させる成果として注目を集めています。
千葉大学大学院医学研究院の中川良特任准教授らの研究グループは、大規模健診施設における49,980人のデータを解析し、AI支援内視鏡の臨床的有用性を明らかにしました。AI導入前の「非AI群」と導入後の「AI群」を比較したところ、胃がんの発見率は非AI群の0.03%に対し、AI群では0.10%と約3倍に有意に上昇。これまで主に録画画像で検証されてきたAIの有効性を、実際の医療現場のビッグデータで証明した形です。
本研究では、AIの導入が単に発見率を上げるだけでなく、診断の質も向上させることが示されました。組織を採取して調べる生体検査の陽性的中率は、胃・食道がん合計で非AI群の2.16%からAI群の4.84%へと倍増。さらに、発見された胃がんは10mm以下の初期病変が多く、より早期の段階でがんを捉えていることが判明しました。一方で、検査時間はAI導入後も延びておらず、現場の負担を増やさないことも実証されています。
Journalポイント
実はこれ、医療の質を上げながら現場の負担を増やさないという、理想的な デジタル技術による変革 を実現した画期的な実例なんです。
え、そうなんですか?医療現場でそうした DX が進むのは素晴らしいですが、検査が慎重になって時間もかかりそうなイメージがあります。
DXというのはデジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術により業務や社会を変革することです。実は、検査時間はAI導入前が7.37分、導入後が7.22分と、むしろわずかに 短縮 しているんですよ。
検査時間が短くなっているのは驚きです。でも、それってもともと医師のスキルが高ければ、こうした AI は不要だったりしませんか?
AIというのは人工知能のことで、コンピュータが人間のように学習や判断を行う技術です。医師も人間ですから、どれだけ熟練していても 見落としのリスク はゼロにはできず、AIは強力な「第2の目」として機能します。
なるほど!じゃあ、AIが怪しいと言った場所をすべて検査するから、無駄な精密検査が増えて、陽性的中率 は下がってしまうのではないですか?
陽性的中率とは検査で異常ありとされた人のうち、実際に病気だった人の割合のことです。本研究ではこれが2.16%から4.84%へと倍以上に向上しており、不要な検査を増やさず、より 確実な診断 につながっていることが示されました。
不要な検査が減るのは患者としても安心ですね。他の病気や医療機関でも、こうした取り組みは広がっているのですか?
実は現在、医療業界全体が AIによる画像診断支援 の実用化へシフトしています。胃や食道だけでなく、大腸がんのポリープ検出や皮膚がんの診断など、多様な領域でスタートアップや大手医療機器メーカーの参入が相次いでいます。
医療とテクノロジーの融合が、これほど身近なところで命を救う支援をしているのですね。とても勉強になりました!

