プレスリリース要約
千葉大学などの研究グループは、公共交通としての電動カート利用が高齢者の要介護リスクを軽減することを実証しました。安定した運行が行われている地域では、利用者の要介護リスクが有意に低下し、今後6年間で約1,500万〜2,000万円の介護給付費低減につながるという試算も示され、地域モビリティの新たな価値として注目を集めています。
千葉大学予防医学センターなどの研究グループは、要介護認定を受けていない高齢者599人を対象に、公共交通としての電動カート利用が要介護リスクに与える影響を2年間にわたり追跡調査しました。その結果、電動カートが安定して運行されている奈良県王寺町では、月1回以上の利用群において、未利用群と比較して要介護リスクが有意に低いことが判明しました。さらに、このリスク低減効果に基づき、今後6年間で対象者全体における介護給付費が約1,500万〜2,000万円抑制されるという推計結果が示されました。本研究は、移動支援が介護予防に直結することを長期的なデータで示した貴重な成果です。
一方で、運行が一時停止し、再開後に便数が削減された大阪府河内長野市においては、利用群と未利用群の間で要介護リスクに有意な差は見られませんでした。この対照的な結果から、高齢者の介護予防効果を十分に引き出すためには、地域モビリティが「一時的ではなく、安定的かつ継続的に運行されていること」が極めて重要であると指摘されています。本プロジェクトは、ヤマハ発動機株式会社と千葉大学との共同研究契約に基づき実施されたもので、今後は他地域での検証を進め、持続可能な地域交通政策とヘルスケアの融合に向けた知見の蓄積を目指すとしています。

Journalポイント
実はこれ、電動カートを走らせるだけで、地域全体の 社会保障費 を大幅に削減できる可能性を示したデータなんです。
え、そうなんですか?移動が便利になるだけでなく、お金の面でもそんなに大きな効果があるなんて驚きです。
実は今、地方都市を中心に高齢者の 外出機会の減少 と、それに伴う要介護リスクの上昇が深刻な社会課題になっているんです。
でも、それってもともと個人が歩いたり、既存のバスを使ったりすれば解決する話ではないんですか?
おっしゃる通りですが、坂道が多い地域やバス停が遠い場所では、外出自体が億劫になります。そこで 電動カート を身近な足として導入したところ、外出のハードルが劇的に下がったんです。
なるほど!じゃあ、この事業を推進する上で、自治体や企業はどのような KPI を設定して効果を測定すればいいのでしょうか?
KPI というのは、目標達成に向けた「重要業績評価指標」のことで、ビジネスの進捗を測る物差しのことです。今回のケースでは、乗車人数だけでなく、利用者の 外出頻度 や『要介護リスク評価尺度』の点数変化を指標にするのが有効ですね。
事業を継続するためには、他の民間企業や他業界も巻き込んだビジネスモデルが必要になりそうですね。
その通りです。実は今、自動車や電機メーカーなどの モビリティ業界 全体が、単に車両を売るだけでなく、地域のヘルスケアや街づくりと融合したサービスへとシフトしている最中なんです。
移動支援が健康寿命を延ばすインフラになるんですね。ビジネスとしての可能性も感じられて、とても勉強になりました!

