プレスリリース要約
京都の化学メーカー、第一工業製薬が開発した「高耐熱性ポリウレタン樹脂の水分散体」が、第76回工業技術賞を受賞しました。従来の有機溶剤に頼らない水性材料でありながら、優れた耐熱性を実現。環境負荷低減と高性能化を同時に求める製造業のミドル・経営層にとって、持続可能な材料選定の新たな選択肢として注目されます。
第一工業製薬(本社:京都市南区、代表取締役社長:山路直貴)は、高い耐熱性を有するポリウレタン樹脂の水分散体技術の開発により、一般社団法人大阪工研協会が主催する第76回「工業技術賞」を受賞したと発表しました。この賞は、工業に関する研究発明や現場技術の進歩に著しく貢献した技術者に贈られるものです。同社の技術は、2025年11月にも令和7年度近畿地方発明表彰「発明奨励賞」を受賞しており、今回の受賞でその先進性と実用性が改めて高く評価された形となりました。本受賞内容は、大阪工研協会の月刊誌「科学と工業」2026年8月号に掲載される予定です。
受賞対象となったポリウレタン樹脂の水分散体は、最適な化学構造設計により、従来の課題であった耐熱性の低さを克服した新材料です。最大の特徴は、分散媒として有機溶剤の代わりに「水」を使用している点にあります。これにより、大気汚染や健康被害の原因となる揮発性有機化合物(VOC)の排出を大幅に低減することが可能となりました。水性塗料や接着剤などの原料として、自動車、電子機器、建材といった幅広い産業分野での応用が期待されています。低粘度で貯蔵安定性にも優れており、製造プロセスにおける扱いやすさも兼ね備えています。

Journalポイント
実はこれ、環境にやさしい水性材料でありながら、従来の技術では両立が難しかった「極めて高い耐熱性」を克服した優れた新技術なんです。
え、そうなんですか?水性の塗料や接着剤って、熱をかけるとすぐに溶けたり剥がれたりしてしまうイメージがありました。
その通りです。実は今、製造現場では環境規制への対応から有機溶剤の使用を減らす動きが加速していますが、自動車や電子部品など高温にさらされる分野では、どうしても耐熱性の高い溶剤型ポリウレタンを使わざるを得ないという課題がありました。
溶剤を水に変えるだけで、そこまで耐熱性などの性能を維持するのは技術的に難しいことなのでしょうか?
非常に難しいです。第一工業製薬は、分子レベルでの最適な化学構造設計により、水の中にポリウレタン樹脂を安定して分散させつつ、乾燥・硬化後には優れた耐熱性と密着性を発揮する 水分散体技術 を確立しました。
なるほど!そういえば、この技術は VOC の削減にも貢献するとのことですが、この VOC とはどういう意味なのでしょうか?
VOCというのは「揮発性有機化合物」のことで、塗料などに含まれる希釈剤(シンナーなど)が代表例です。大気汚染や健康被害の原因となるため、これを水に置き換えることで環境負荷を劇的に下げられます。
他の化学メーカーも同じように、環境対応を目的とした製品の水性化や脱溶剤に向けた開発を進めているのでしょうか?
はい。業界全体が サステナビリティ 重視へとシフトしていますが、耐熱性と安定性をこれほど高い次元で両立させた例は珍しく、今回の「工業技術賞」受賞はその先駆的な価値が認められた証と言えます。
環境性能と実用的なスペックを両立させることが、これからの材料開発のスタンダードになるのですね。勉強になりました!

