プレスリリース要約
ニューロテクノロジー開発のVIEと大正製薬は、脳波に基づいて設計した特定の音響刺激により、主観的な食欲を抑制できる可能性を示す研究成果を発表しました。食事を伴わずに満腹に近い脳状態を誘導するこの新技術は、従来の食事制限に代わる新たなウェルビーイングや体重管理のアプローチとして注目を集めています。
VIEと大正製薬の共同研究グループは、満腹時に特徴的に現れる高周波帯(β/γ帯)の脳波パターンを特定し、その状態を外部から誘導する音響刺激を開発しました。約600名を対象とした実証実験において、この音響刺激(音楽)を聴取したグループは、通常の音楽を聴いたグループと比較して、聴取30分後においても空腹感や食欲の低下が有意に持続することが確認されました。本研究成果は学術誌「Frontiers in Human Neuroscience」に掲載され、音響による生理作用のコントロールという新たな可能性を提示しています。
この技術は、空腹時に特定の周波数を含む音楽を聴くことで、一時的に脳を満腹に近い状態へと導き、過食や間食を抑える行動変容を促すものです。実験では、軽食を摂取した後の状態では音楽による効果の差が見られなかったことから、空腹時において特に効果を発揮する「状態依存的な特性」を持つことが明らかになりました。現在は研究段階ですが、日常的に簡易測定できるウェアラブル脳波計を展開するVIEの技術基盤を活かし、将来的にはヘルスケアアプリや企業の健康経営サポート、ダイエット支援サービスなどへの応用が期待されています。


Journalポイント
実はこれ、特定の周波数の音を聴くだけで脳を刺激し、食事を摂らなくても満腹に近い状態を作り出せるという、全く新しいアプローチなんです。
え、音楽を聴くだけで食欲が抑えられるんですか?そんな魔法のようなことが本当に可能なんですね。一体どういう仕組みなんですか?
人間が満腹のとき、脳内では特定の活動が活性化します。今回は、その満腹時に多く現れるβ波やγ波という脳波パターンを特定し、その脳波を外部から誘導するような特殊な音響刺激を音楽の中に組み込んだのです。
なるほど、脳波を誘導するんですね。でも、それって普通の音楽を聴いてリラックスすることによる効果とは違うんですか?
そこが面白いポイントです。普通の音楽でも聴いた直後は一時的に食欲が下がりますが、今回開発された音響刺激を聴いたグループは、通常の音楽と比べて聴取から30分後も有意に空腹感や食欲が抑えられ続けることが実証されました。
30分も効果が持続するんですね!これなら、ダイエット中にお腹が空いて間食したくなったときなどに、非常に実用的な対策になりそうです。
そうですね。この研究では、満腹時と空腹時の脳の状態を正確に比較するために、高精度なEEGという計測技術を用いて、安静時の脳波活動や食べ物に対する反応速度の変化を定量的に評価しています。
そのEEGというのは何のことですか?やっぱり医療機関にあるような、大きな専用の装置がないと測れないものなのでしょうか?
EEGというのは脳電図(脳波測定)のことで、脳の活動に伴う微弱な電気信号を頭皮から記録する技術です。これを開発元のVIEは、日常で手軽に使えるイヤホン型などのウェアラブル脳波計として社会実装を進めています。
なるほど、専用のイヤホンなどを着けて音楽を聴くだけなら、仕事中や移動時でも自然に活用できそうですね。勉強になりました!

